地震災害における死亡原因の多くは、建物の倒壊と家具の落下による圧死・窒息死だと言われています。
地震発生時には、家具・什器やオフィス機器が襲いかかるように倒れてきます。
オフィスの家具・什器も倒れにくいようにしたり、倒れても建物の外へ避難できるようにしたりして避難経路の確保ができるよう工夫することが大切です。
普段からできる対策で、社員のいのちを守りましょう。
避難経路を確保できるようにオフィス家具や什器をレイアウトしましょう。
<通路や出入り口の確保>
通路となる場所は、1.2m以上の幅を設ける必要があります。これは、ちょうど成人男性2人がすれ違えるくらいの幅です。通路にこれくらいの幅があれば避難する際にも、ぶつかり合ってタイムロスを起こすようなリスクが軽減されます。
また、出入り口の付近には転倒しやすい不安定な家具は配置しないようレイアウトを考慮しましょう。
家具が転倒して通れなくなったりドアを開けることができなくなったりなどの危険性があります。
<避難誘導灯について>
非常口の上部に備え付けられている避難誘導灯の周りの家具についても注意が必要です。
避難誘導灯は停電時には20分以上点灯し、夜間でも安全に出口を目指せるようになっています。
家具・什器で隠れてしまうことのないようにしましょう。
<背の高い家具・什器について>
背の高い棚などの家具を置く場合は、置く場所に配慮する必要があります。
まずガラス窓の近くだと、転倒した場合にガラスが割れて飛散し怪我をする危険性があります。
次に、デスクの近くだとデスクワーク中に転倒してきた場合、下敷きになったり逃げ道をふさがれてしまうことも考えられます。
ほかにも、オフィスの空間を仕切るのに背の高い家具を利用しているケースも見受けられるのですが、地震の際に転倒する恐れがあります。
背の高い家具は、壁につけて配置する方が、転倒しにくいです。
<重い什器や機器について>
オフィスにはコピー機や金庫などの重い什器や機器があります。
こういった重いものは、執務スペースとは離れた別のスペースに配置して、さらに、キャスターなどが付いているものの場合は、ストッパーをつけるなど動かないようにする工夫をしましょう。
<ラッチの付いている家具を使う>
大きな揺れが起こると、家具の引き出しや扉が開いてしまい、中の書類や荷物が飛び出して落下してくることがあります。
引き出しや扉に「ラッチ(空錠)」という勝手に開いてしまうことを防ぐ締り金具がついている家具を選びましょう。
<背の高い家具の使い方>
とくに背の高い家具や、複数個並べたり積み重ねたりして使う家具・什器は、非常に転倒しやすいです。壁や床、家具・什器同士を固定して、転倒しないようにしましょう。
上記でも紹介したように、背の高い家具を空間の仕切りとして使うのは転倒した場合のリスクが大きいので危険です。
空間を仕切る際にはパーテーションを利用することをおすすめします。
低いパーテーションであっても倒れた場合は、もちろん避難の際に邪魔になってしまいますが、コの字型やH型に配置すると安定感がある置き方になります。
基本的なことですが、オフィス内の通路や廊下をふさぐようにものを置くことや、家具・什器の上に物を積み重ねることはやめましょう。大きな揺れが起きた際には、バラバラと崩れ落ちたり、通路に散乱したりして、避難を妨げる要因になります。
日頃からオフィスの整理整頓を徹底することも地震対策の一つとして重要です。
時計や掲示板など、壁に掛けている物も簡単には落下しないように固定する必要があります。
中小企業は大企業に比べて、地震対策にコストをかけられずに実施していないことが多くあります。
これは大企業ほど潤沢な資金がないのが原因ではありますが、「だから仕方ない」と言わずに、大きなダメージを受けないためにもできる対策を行いましょう。
そして地震対策は一度実行したら終わりという訳ではありません。定期的に見直して対処をしていくことが大切です。
地震大国である日本。東京でも、いつ大きな地震に見舞われてもおかしくないです。
ということは分かっていても、普段の日常業務に追われて、オフィスの地震対策は意外とできていないものではないでしょうか。
しかしいざという時に、避難経路がふさがれたり、倒れてきた家具で怪我をしたりして速やかに避難ができないという状況になってしまっては大変です。
社員の安全を守るためにも、できる限りの対策を行うべきです。
今回は、オフィス家具やレイアウトを見直すことでできる地震対策についてご紹介します。